2008年12月7日(日) 第28回前原市人権週間中央講演会に参加 元気なおかん工場長おおいに語る
2008年12月7日(日)第28回前原市人権週間中央講演会に参加 元気なおかん工場長おおいに語る
12月7日(日)13時30分から、前原市人権センターで開催された「第28回前原市人権週間中央講演会」に参加しました。
手話通訳を「糸島手話の会」、要約筆記を要約筆記の会「いとしま」の皆様が担当されました。要約筆記は今回が初めてとなるので、代表者から要約筆記について内容説明がありました。
はじめに、主催者である松本嶺男前原市長は「世界人権宣言が1948年に制定され、本年で60年の節目を迎えました。(中略)本日のこのような催しを契機に、前原市が目指す、あらゆる差別と偏見をなくし、人権を尊重したまちづくりのために、努力、精進してまいります。」とあいさつがありました。
来賓あいさつの後、筑紫女学園大学手話サークルのみなさんによるアトラクション、手話ソング「ベストフレンド」「明日があるさ」の2曲が披露されました。比較的、手話が覚えやすい「明日があるさ」のフレーズは手話の指導を受けたあと、会場全体で手話ソングを楽しみました。
知的障がい者と共に働く
『やればできる!』と信じ続けて
いよいよ、メインである、元気なおかん工場長である株式会社アクスの取締役工場長の山田美智子さんの登場です。
<人物・特徴>
1986年夫と共に㈱アクスを設立。障がい者雇用を積極的に取り入れ、現在、ハンディキャップを持つ社員が80%を占める。試行錯誤を繰り返して指導法を確立。個々の能力を最大限に引き出し、また、指導員の育成にも力を注ぐ。障がい者と共に働く現状を通し、ノーマライゼーションな世界を伝える。
(当日配布された資料より引用)
山田美智子さんは開口一番、次のように語られました。
「現在62歳、みんなと一緒に元気に働いている、元気なおかん工場長です。」 現役の工場長で障がい者の皆さんとともに、悪戦苦闘しながら、しかも人生を楽しみながら生きておられる姿に感動しました。ノーマライゼーションの理解を深めることが出来ました。以下、講演の一部を紹介します。
リサイクル分野の非鉄金属選別業と行政がゴミとして出されたカン、ビン、ペットボトルを再資源化する選別業の2本柱で仕事をしています。従業員は私(工場長)を含め34名でそのうち23名が養護学校の卒業生です。重度障がい者の方もたくさんおられます。障がい者就労に関して、ダブルカウントすれば80%以上となります。当初から、この雇用率で仕事をしてきました。80%といえば、飾り物の人が居ては仕事になりません。障がいが在ろうが無かろうが、みんなが戦力として必要となって来るんです。どうしても、必要に迫られて来ることが、いっぱい起きてきます。必要に迫られた中から、生まれて来たことで、㈱アクスは成り立っているのかなと思います。
見学に来られた方から「何で障がい者雇用を始めたんですか」と聞かれます。社長(夫)は非鉄金属問屋業を50年一筋にやってきました。社長は「このままでは、先細りしていくなあ。アルミ、ステンレスの選別をやっていこう」と言い出しました。選別作業は危険は無いが汚れる仕事、いわゆる3Kの仕事の一つと言われ、求人難の時、労働力確保は一つの考え方。もう一つ、座って出来る仕事、車椅子の人に仕事をしてもらっても良いなと思いました。障がい者の人の残された機能、感覚は鋭いのではないかと思ったんです。障がい者の人とお互いに必要なものを出し合ったら、共存共栄できるかもしれない。それが障がい者雇用のきっかけです。
日本は福祉国家として、いろいろな制度があります。その制度を利用しようとした時に、株式会社にする必要が出てきました。社長は「社名がいるぞ。みんな社名を考えて来いよ。会社にするからな」と言いながら、次の日、社長は「アクスにしよう」と言いました。その意味を尋ねたら「思いやりの愛のAと、協調のKと、進歩のSのAKSでアクスや」と言いました。私はその一言を聞いて、「うあ!素敵や!」と言いました。なぜそう言ったかというと、22年前、株式会社を設立する1年間から障がい者と関わってきたんですが、営業から戻ってきた社長に、一日の報告を毎日してきました。そのときに車椅子の人は重い荷物持てません、その人のために重い箱を運んでくれ、開けてくれる人がいます、それも毎日、毎日、本当に嫌な顔一つせずに働いてくれている様子や、聾唖のおっちゃんとのやり取りなど、いろんなことを報告してきました。社長はそんな一年間の報告の中から、「みんなで協力、相手を思いやる気持ちがないとなあ」との思いからAKSを選んだようです。AKSは(株)アクスの基本理念になっています。実際、これがないとやっていけないなと思いながらの毎日です。
障がい者をかかえる親御さんとは、信頼関係を持つことに力を入れます。実際に仕事をする彼らとは、コミュニケーションを取ることが大事です。私なりに式が出来ました。 プラス、マイナスはマイナスでなくて、マイナス、プラスはプラスになる。本当の理解 をするところから始まる。このようなマイナスもあるな、しんどいこともあるなと理解し、しっかり付き合うと、障がいを持っているゆえのプラス、真面目さや素直さが仕事をしていく上でいっぱい出てくる。障がい者雇用もいいもんだな、というプラスの答えがでます。
以上、講演の一部分を紹介しましたが、本ホームページをご覧いただいている方に、ま だまだお伝えしたい山田美智子さんからのメッセージがあります。もっとお知りになりたい方は、講師として招聘されるか、工場の見学を申し込まれて直接、お話を聞かれることをお勧めします。
今回の講演の中で、何回もご主人である社長が登場しました。元気なおかん工場長も素晴らしい。社長であるご主人の存在が大きいと思いました。どっしりとして、言うべきことははっきり言ってごまかさない。正に男の鑑に思えました。講演会終了後、おかん工場長の山田美智子さんと名刺交換しました。「美智子妃殿下と同じ名前です」と笑って名刺を差し出されました。その横にご主人が優しい眼差しで私とのやり取りをご覧になっておられました。私の直感どおり、人間大好き、そのような社長でした。機会をみて、是非、工場の見学に伺いたい、講演のなかで紹介された工場2階の露天風呂に入りたいと思い、人権センターを後にしました。
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