日本経済を変えた戦後67の転機 日本経済新聞社編(私の読書・第2回)
「日本経済を変えた戦後67の転機」を読むきっかけをいただいたのは、フェイスブックのお友達の推薦です。早速買い求め読了開始しました。経済学を苦手とする私にとっては結構、難行苦行の読書でした。
本書の「まえがき」に記されているように「取材、執筆にはベテラン編集委員や記者27人があたり、できるだけその出来事が起きた場所や人物を具体的にたどるようにしました。」と。
57の史実全てが、軸足を現代に置いて、過去の出来事を俯瞰して見られたドキュメンタリーであり、感服しきりです。
政治の一分野を担っている私が、本書を読了して感じることは
・自分の目で確認し、正確な状況を確認すること。
・物事の本質を見極める感性を磨くため、多くの人のご意見を謙虚に受け止め、先入観を信じないこと。
・先人が成し遂げられたように、判断を下したならリスクを怖がらず果敢に行動に移すこと。
以下、本書から感銘した箇所及び心に留め置かなけれはと思う箇所を抽出しました。
・「いま起きている出来事には出発点がある。源流をたどると忘れていた断面がみえる。経済史をあるく」(まえがき)
・業務執行役員の神戸司郎は「井深さんや盛田さんが今いたら、どうするだろうか。全く新しいことをやっているかも知れないと思う時がある」と語る。世界経済な不透明感を増し、オカスの様相を強めている。それを創業のチャンスととらえる気概が今こそ企業に必要だ。(東京通信工業発足)
・09年に誕生した民主党政権がコメ農家に直接補助金を渡す戸別補償制度を導入し、12年に政権復帰した自民党がこれを否定して18年の廃止を決めるなど、農政の中身がぶれ続けている。農家が安心して大規模化に取り組めるようにするためには、農政の軸を安定させることが重要だ。(農業基本法)
・労働力の不足や社会保障負担の偏りといった人口減少の弊害は大きい。たが少子高齢化への対応次第で開拓できる需要もある。勤労世帯が減ると住宅や自動車の市場は縮むが、高齢者の増加に伴って医療や介護者支出が膨らむ。こうした「スペンディング・ウェーブ(支出の波)」を生かす戦略が問われ流。(人口1億人突破)
・日本の農家の平均年齢は今や66歳。高齢化と担いて不足が特に深刻なのが稲作だ。小規模なコメ農家が借金で高価な機械を買ったことが、米価の引き下げたとの指摘もある。今後、田植え機やトラクターが更新期に入ったとき、買い替えずに農業をやめるとの見方もある。(兼業農家時代へ)
・頭を占めるのはネットとグローバル化の時代の成長戦略だ。消費市場の変化の早さに対応できなければ、昨日の勝者も明日の勝者にはなれない。(新宿カメラ戦争)
・国土計画がおとろえた一因に2001年の省庁再編がある。国土庁という推進役を失なったからだ。半世紀後の総人口は8700万人弱。80万都市が毎年一つ消滅する計算だ。その大変革期に、例えば、四国にかかる橋を3本とも維持し続けられるだろうか。あらたな国土計画がいるゆえんである。(田園都市国会構想)
・夕張の高齢化率(65歳以上の人口比率)は今や43.8%に達する。集落を再編して行政の効率化を図る「コンパクトシティー」を提唱する夕張市長の鈴木はこう主張する。「夕張の経験はこれから人口減少社会に差し掛かる日本の教訓になる」(北炭夕張炭鉱閉山)
・円高などで苦しむ輸出産業と比べて鉄道産業は安定しているが、人口減少の影響をもろに受ける。このため「海外を視野に入れた事業を展開する」と清野智JR東日本会長は言う。東海や東日本は新幹線など鉄道システムの輸出を模索し、JR九州は外国人観光客の誘致を図るなど、布石を打ち始めている。(国鉄分割民営化)