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看取り犬 文福の軌跡 若山三千彦著(私の読書 第8回)

2019年 9月 11日
看取り犬・文福の軌跡(表紙)

看取り犬・文福の軌跡(表紙)

新聞で新刊広告を見て、即座に書店に申し込みました。
お届けいただいた新刊書籍「看取り犬 文福の軌跡」を手に取り、最初に目を通すのは最終ページ。2019年8月5日 初版第1回発行と記述されていました。今まで購入した書籍で初版本を手にするのは久しぶりで、何か得をしたような気持ちになりました。
手に取り、一気に読みました。2019年6月定例議会で「犬猫殺処分“ゼロ”の糸島市を目指そうではないか。」とのテーマで質問し、今から取り組みを強化しなければ思っていた時の出版案内、貪るように読みました。

物語(実話)の舞台は神奈川県横須賀市にある「さくらの里山科」は全国で唯一のワンちゃん、ネコちゃんと一緒に暮らせる特別養護老人ホームです。本著は心が温かくなる15の掌編からなっています。著者は施設長の若山三千彦氏です。
15話に登場するワンちゃん、ネコちゃんは殆どが、保護犬、保護猫であったという事実です。動物愛護センターに送られてきた犬、猫で引き取り手のないワンちゃん、ネコちゃんが主人公です。
15の掌編すべて紹介したい内容ですが、ここでは文福(ぶんぷく)の関する文章を主に紹介させていただきます。

<第1話 看取りの犬・文福 ―奇跡の保護犬―>

文福は保護犬、つまり保健所で殺処分予定たった犬である。翌日には殺処分になるという、まさに死の寸前で、動物愛護団体の『ちばわん』に救われたのだ。『ちばわん』が保健所で撮影した文福の顔は、いまとは似ても似つかぬものだった。暗く引き締まった絶望の表情が浮かんでいた。
かつて人間に捨てられ、命を失いかけた文福が、こうして高齢者の最後を見守るために全力で尽くしてくれるとは・・・・・・
坂田は感動していた。
いや、おそらく文福は、人に見捨てられ、ひとりぼっち死の淵に立ったからこそ、死に向かい合う不安を理解しているのだろう。だから入居者をひとりで旅立たせないよう、最後まで寄り添って見守ろうとしているのかもしれない。
文福の看取り活動は、老人ホームで高齢者とペットが共生できることを、共生することに意義があることを、職員に確信させた。

そして、ついに文福が部屋の前で項垂れるときがきた。それまで自由に出入りしていたのに、けっして部屋には入らなかった。悲しそうにずっと項垂れている。
半日後、文福はゆっくりと部屋に入るとベドの脇に座り、じっと佐藤さんの顔を見つめた。それまではしょっちゅうベットの上に上がり込んでいたのに、けっして上がらなかった。
翌日、文福はそっとベッドに上がると、佐藤さんの顔を慈しむようになめた。
(中略)
そして、息子さんたちに見守られながら穏やかに旅立った。その枕元には文福が寄り添っていて、ひたむきに見つめていた。佐藤さんは希望どおり、文福に身と取られたのだ。

<第3話 ラッタッタでGO!>

老人福祉の役割とは、高齢者があきらめていることを、もう一度できるようサポートすることではないか。本人ができない部分を介助して、できるようにすることではないか。旅行を行くことをあきらめている人には、職員が介助して買い物をしよう。美味しいものをあきらめている人には、職員が介助して美味しいものを食べてもらおう。高齢者が最後まで人生を楽しめるよう支えていこう。これが「あきらめない福祉」という理念である。

<第6話 いまが至福の時>

昔から、「犬は人につき、猫は家につく」と言われるが、猫を飼ったことがある人は、それが間違いだと知っている。猫も人につくのである。

<第14話 僕が絆はつなぐ>

飼い主と愛犬のあいだには絆がある。その絆は奇跡的に強い場合もあれば、信じられないほどもろい場合もある。絆が強くなるか、もろくなるかは通常、飼い主の思いにかかっている。飼い主の思いが強ければ絆は強くなり、飼い主の思いが弱ければ、絆はもろくなる。しかし、それには、愛犬の思いが絆をつなぐ場合もあるのだ。

 

本文からの引用は、以上の通りですが、上記の引用の<第3話 ラッタッタでGO!>で著者である施設長の若山三千彦氏の「あきらめない福祉」という理念は私の胸を揺さぶりました。本ブログをお読みいただいた方は是非、ご一読されることをお勧めしたい。

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