危険な林道崩壊改修予算が通過
5月8日(火)糸島市議会臨時議会が開催され、議案第52号「平成24年度糸島市一般会計補正予算(第1号)が上程され、林道改良事業費として70,700千円計上され可決した。
以下のように質疑・答弁を記述します。
Q1.災害発生の状況および原因は?
A1.(白糸西側;雷山浮嶽線、県道交差点より西へ3.1㎞)
平成21年に被災し、崩土取り除き及びモルタル吹き付けによる復旧工事を実施した箇所。昨年(H23年)12月中旬ごろ、モルタル吹き付け上部の地山が崩壊した。
本年4月に、強風などによる立木の林道への落下を防ぐための応急措置として、崩壊した地山の立木(19本)を伐採した時に、地山の亀裂を確認した。
応急措置後は通行止めを解除している。
(白糸東側;第2雷山浮嶽線、県道交差点より東へ0.7㎞)
本市では、週2回、林道パトロールを実施しており、12月6日に崩土の報告があり、さらに12月13日には崩壊し通行不能との報告があった。
崩壊した土の量が多く、応急措置も施せず、現在も通行止めにしている。
(考えられる原因)
これは、昨年(H23)11月18日に68.5㎜/日(観測史上、前原地点の11月の値として第3位)、19日に39.0㎜/日の平年以上の強い降雨があったことと、12月3日と8日に10㎜/日程度の降雨があったことが原因ではないかと推測される。
Q2.なぜ、今の時期の補正予算を上程するのか?
A2.雨時期を迎えるため、被災が拡大しないよう万全の対策を講じたい。
※ 想定される被災の拡大
・ 表層の亀裂部分からの雨水の浸透による大きな円弧滑り
・ 崩落した土砂の森林や側溝への流入 など
Q3.復旧事業の対象にならないのか?
A3.災害復旧事業の対象となる降雨量は、“24時間雨量が80㎜以上または1時間雨量が20㎜以上”となっており、今回は降雨量がこの基準に達していない。
Q4.他の補助事業等は活用できないのか?
A4.広域基幹林道は、開設事業の完了後、市に移管されているため、県営事業には該当しない。
県単の補助事業については、予算の箇所付けが終わった時期であり、当該地区に予算付けるのは困難な状況であったが、県の配慮により、本年度施工予定の林道舗装工事の予算を当該復旧工事に振り替え、事業費を500万円から1,000万円(県補助金400万円)に増額することを了承していただきました。
Q5.広域基幹林道は、どの程度利用されているのか?
A5.広域基幹林道は、下草刈り、枝打ち、間伐、林産物の搬出などの森林施業が主な使用目的ですが、登山、ハイキング、散策等のレクリエーションにも使用します。
(森林施業)
雷山浮嶽線は、延長19㎞で約3,000haの森林の利用面積があります。
平成23年度は、61haの間伐実施、平成24年度は27haの間伐の計画です。
第2雷山浮嶽線は、延長7.5㎞で約670haの森林の利用面積があります。
平成23年度は、28haの間伐実施、平成24年度は30haの間伐の計画です。
平成23と24年度で、広域基幹林道を使って146haの森林の整備を実施します。
(観光)
広域基幹林道沿いの観光客入込数(H22年1~12月)
・ 白糸の滝ふれあいの里 146,260人
・ 白糸オートキャンプ場 886人
・ 雷山千如寺 30,700人
・ 真名子木の香ランド 約3,000人
これらの施設利用者は、広域基幹林道を通行しているが、他に広域基幹林道を使っての登山客や森林浴、極楽展望台などの眺望がいい場所への観光客は多い。
Q6.今後、林業でどの程度利用されるのか?
A6.本市の人工林約6,000haのうち、伐採時期に達した45~55年生の森林が50%を占めており、本年度以降、森林経営計画を策定した地区から、利用(搬出)間伐を実施していくことになるため、幹線である広域基幹林道の活用が想定される。
Q7.広域基幹林道をどのように観光に結び付けようと考えているのか?
A7.瑞梅寺山の家⇒雷山千代寺⇒白糸の滝⇒フォレストアドベンチャー(樋の口ハイランド、木の香ランド)⇒極楽展望台⇒温浴施設 と線でつなげ、これらと平野部や海岸線にある既存の施設とを一体的にPRや利用してもらい、糸島全体の面的な観光振興が期待できる。
Q8.広域基幹林道の概要は?
A8.
- 全体延長 50.2㎞
- 事業期間 昭和61年度~平成27年度(予定、30年間)
- 平成23年度末完成延長 43.6㎞(87%)
- 平成23年度までの事業費(改良・災害含む) 106億円
- 幅員 5m、一部7m(県道雷山前原線~林道飯原線間の1.4km)
Q9.糸島市の林道の数は?
A9.前原 24本
二丈 19本
志摩 4本
合計 47本、H23年度末現在供用延長 約122㎞
Q10.土地の所有者は、復旧工事に同意されているのか?
A10.両箇所とも復旧工事の施工に同意をいただいている。
Q11.広域林道の交通量は?
A11.交通量調査をした地点は、県道前原富士線~白糸の滝間のみである。時期や天候によって差が大きいが、1日当たり1方向で100台程度から最高は1,280台(H23.8.28(日))である。
Q11.フォレストベンチ工法で検討できないか?
A11.フォレストベンチ工法は、「自然と共生して斜面を災害から守る」という画期的な技術であるということは、過去の議会において笹栗議員から提案いただいたところであります。
また、国土交通省の道路工事などですでに取り入れられていることは把握ている。
このことから、5月10日に本市において、「フォレストベンチ講習会」が開催されることから、職員も多数参加して、勉強することとしている。
今回、補正予算に計上している工法は、モルタル吹き付け、コンクリート法枠工、種子吹き付け工等で計画しているところであるが、今後、広域基幹林道等での法面の復旧工法として強度は保てるのか、工事費がどの程度になるのか、効果が見込めるのか等研究していきたい。
Q12.広域基幹林道の進捗率は87%で、あと6.6㎞の整備が必要である。平成27年度の完成予定となっているが、平成27年度は議員や市長の任期を超える。ぜひ、市長は、現在の任期内に広域基幹林道が完成するよう努力されないか?
A12.ご承知のとおり、議員や市長の任期は平成26年2月までです。任期内の完成ということになれば、平成25年度の予算の獲得が重要である。予算が獲得できるようあらゆる機会に国や県に働きかけていきたい。